岩明均の「ヒストリエ」は続く?

紀元前343年という、とても大昔の話。

主人公は、エウメネス
アレクサンドロス大王に仕えたとされるものの、その前半生についてはわかっていない彼について、少年時代からを描いた作品です。

一巻目は、青年になったエウメネスが、故郷のカルディアの町に帰るところから始まります。
カルディアに帰りつくまでに、二つほどのエピソードがあるのですが、エウメネスには冷静な観察力があり、博識であること、我が道を行く感じ、手先が器用で何かを作りだすことができる、ということがわかってきます。

家があったはずの場所に着いたところで、彼の少年時代へと話は戻っていきます。
家族関係、友人との生活、図書館の書物に惹かれていたこと。

普通の生活を送っているようでありながら、どこか不穏なものをはらんでいる雰囲気を漂わせつつ、日々が過ぎていきます。

この時代の、町での生活、富をもつ者と持たない者、奴隷の存在もなかなか衝撃的に登場してきます。
当時の人々にとっては当たり前であったろうことなのですが。
 
なぜ、エウメネスという、とても有名というわけではない人物を選んだのか、というところから、おもしろいと思いました。
 
よくわかっていないからこそ、想像でおぎなえる部分が多いということでもあります。
まったくの想像上の人物でもなく、何をしたのか皆が知っていそうで知らない、そういうのが、ツボですね。
 
ヒストリエ」、しばらく続きの巻が出ていなくて、いちじは、打ち切りなのだと思っていました。
しばらく前に、12巻目が出て、あっ、続くのねと悦んだのです。
さらにコンスタントに続きが出版されるというわけにはいかないのか、、?
せっかくだもの、最後まで読ませてください。